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高森明勅
2024.4.6 07:33

旧秩父宮家などへ養子縁組という産経新聞のスクープは誤報?

先頃、産経新聞が皇位継承問題に関連して
他のメディアでは報じていない内容を、2度にわたって報道した。
自民党の懇談会で、旧宮家系子孫男性が旧秩父宮家など
既に廃絶した宮家を養子縁組によって継承するという、
常軌を逸した案が検討される、と
(3月16日付·24日付、内藤慎二記者ほかの署名記事)。

これが事実なら、中身の奇妙キテレツさはともかく、
産経新聞の“スクープ”だ。

最初は3月18日の会合で取り上げられるとの記事だった。
しかし、この時は旧宮家プラン自体が議題になっていなかった。

次は4月4日の会合。この時は旧宮家プランが議題になった。
果たしてどうだったか。

産経(4月5日付)の記事を見ても全く出て来ない。
予想通り、有識者会議報告書のプランに賛意を示したというだけの内容。
先の2度にわたる報道は、残念ながら産経の誤報又は虚報だったか?

さすがに、自民党も上記の案をまともに取り上げる程には、
劣化していないということか。
産経の記事も、全くの捏造とは考えにくいから、
誰か関係者のデタラメな話をそのまま信じ込んで、
堂々と記事にしてしまったのか。

なお自民·公明両党は政権与党なのに、政府の提案を
即座に追認しないで、改めて検討する会議体をポーズだけでも
それぞれ党内に設置したこと自体、いささか意外だったが、
自民党がもたついているのはどうしたことか
(希望的観測に
過ぎないかも知れないが、党内に健全な
異論があって、
それにも配慮しているのか)。

産経記事の締め括りは以下の通り。

「皇位継承を巡っては立憲民主党や日本維新の会、
公明党などの議論が先行している。
(懇談会事務局長の)木原(誠二)氏は『われわれも遠からず
まとめていきたい』と述べたが、時期は明言しなかった。
首相周辺は安定的な皇位継承に資する法整備に意欲を示しつつ、
『自民の「政治とカネ」の問題が落ち着かないと
なかなか議論できない』と語った」

これが事実なら、国民が政治に働きかける時間はまだ残されている。
自民党が今後、党内での意見集約を終えた場合、
衆参両院議長が中心になって全政党·会派の協議の場が設けられ、
そこでの議論に移るーという流れになるはずだ。

その協議の場で、国民の後押しによって、
どこまで「正解」に近付けることができるか。
今国会中の決着という線は今のところ変わらないだろう。
勿論、決着が前倒しされる可能性もあって、油断はできない。

それまでに、少しでも多くの国民の声を
与野党のキーパーソンに届けることが大切だ。
落胆したり絶望したりするのはまだ早いし、
落胆したり絶望したりする資格があるのは真に戦った者だけだ。

 

追記
①3月31日のブログで「初めての単独のご公務」と記しているのは
“地方での”が抜けていたので「初めての地方での単独のご公務」に訂正。
疎漏な書き落としをお詫びします。

②4月6日、SmartFLASHにてインタビュー記事公開。
https://smart-flash.jp/sociopolitics/280828/

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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